国民健康保険、文芸美術国民健康保険の2択
フリーランスになると、国民健康保険に加入することになります。
会社員を退職後は、健康保険の任意継続も選択できますが、期限が2年と決まっています。
遅かれ早かれ国民健康保険に加入することになります。
まず、国民健康保険には大きく以下の2種類があります。
- 自治体が運営する「国民健康保険」
例えば大阪市の国民健康保険などです。都道府県と市町村が共同で運営しています。 - 特定の職種ごとに設立された「国民健康保険組合」
医師・薬剤師・建設業など、職種別で全国で164もの組合があります。
この中に、クリエイターや芸術家を組合員とする「文芸美術国民健康保険組合」(略称「文美国保」)があります。
WEBデザイナーは文美国保へ加入できます。
私の場合、フリーランス1年目は国民健康保険でした。
文美国保の加入申請には確定申告書類が必要なので、最初の確定申告後に手続きを行い、2年目
以降、ずっと文美国保にお世話になっています。
「国民健康保険」と「文美国保」、どちらが良い?
💰2つの大きな違いは、保険料の計算方法です
「国民健康保険」は所得により保険料に大きく差が出ます。自治体によっても差がありますね。
一方、「文美国保」は所得に関わらず一定額で、所得の大きい人ほどこちらの方が保険料が安くなります。
※ここでいう「所得」は、フリーランスの場合、売上から経費を引いた営業損益を指します。
例えば、
- 大阪市在住
- 一人暮らし(扶養なし)
- 40歳未満(介護保険料なし)
の場合で2024年度の保険料を比較してみましょう。
国民健康保険の場合
大阪市のサイトの計算方法を元に保険料を算出してみます。
291,177円/年 となります。
335,557円/年 となります。
671,577円/年 となります。
所得の上昇とともに、保険料がかなり上がることがわかります。
文美国保の場合
文美国保のサイトに保険料が掲載されており、2024年度は308,400円/年となっています。
ただし、加盟団体に所属する必要があり、例えば日本イラストレーション協会(略称「JILLA」)は会費が24,000円/年かかりますので、合計すると
332,400円/年となります。
※JILLA加入初年度だけ、別途手数料3,000円がかかります。今回の計算からは省きます。
国民健康保険と文美国保の保険料を比べると、
所得約235万円で損益の分岐点となることがわかります。
どちらの保険料も毎年上がっていますし、家族構成によっても異なります。
正確な保険料は、区役所の窓口などで計算してもらうのが確実ですが、
目安として、安定的に235万円を超える所得になったら、文美国保への切り替えも検討して保険料を比較してみましょう!
国民健康保険料は、所得税と違って、ほとんど控除がありません。
工夫の余地がないのです🥺
唯一、文美国保の存在を知って、比較して正しく選択することが大きな差を生みます💪
保険料を抑えるための法人化について
国民健康保険料の高さから、自分一人だけの法人(通称「マイクロ法人」)を設立して保険料対策をする方もいます。
ただ、マイクロ法人の運営に通常数十万円/年の経費がかかってくることが多いです。
場合によってはかなりお得になる可能性もありますが、手間やデメリットも考慮して十分に検討しましょう。
文美国保が使えるWEBデザイナーは、保険組合が無い職種より恵まれているので、ありがたく適切に活用しましょう✨
WEB関連事業でも、エンジニア業やアフィリエイトなどの広告収入がメインの場合は対象外で、「デザイン」による収入を主としている必要があります。
また、加盟団体に所属する必要があり、WEBデザイナーの場合、日本イラストレーション協会(略称「JILLA」)がおすすめです。(※会費がかかります)
文美国保への加入には、上記を証明をする書類の提出が必要で、審査もあります。
申請は郵送のみで受け付けており、審査は月に1度、決められたタイミングでのみ行われます。
団体への加盟手続きも考慮すると、申請準備〜加入まで3ヶ月程度見ておいた方が良いと思います。